-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」
2005年 08月 29日 (月) 13:18 | 編集
リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 リチャード・ニクソン暗殺を企てた男

「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」 ★★★☆

(2004年アメリカ)
監督:ニルス・ミューラー
キャスト:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ドン・チードル、ジャック・トンプソン、マイケル・ウィンコット、ミケルティ・ウィリアムソン、エイプリル・グレイス、リリー・ナイト
公式サイト

感想にはネタバレが含まれます。
製作総指揮にレオナルド・ディカプリオ、アレクサンダー・ペイン、製作にアルフォンソ・キュアロンと言った名前が並ぶこの作品、表題から想像されるような陰謀のきな臭さ等というものとは無縁の、政治色はほぼ皆無の異色作である。
1974年のニクソン政権時代、実際にホワイトハウスに飛行機で突っ込もうとしたサム・ビックという実在の人物の話がモチーフらしい。(まんま9.11。
映画は何をやっても不器用で純粋過ぎる男が狂気に駆り立てられていく心の揺れを非常に丁寧に描写する。うだつが上がらない男が次第に閉塞し、社会に順応できない自己を正当化していく様は何ともやり場のない無力感と危うさに満ちたものだ。
彼が本当に壊したかったその標的とは、ニクソン個人というよりはリチャード・ニクソンに象徴されるアメリカの資本主義的合理主義社会そのものだったのではないだろうか。即ちこれは一人の愚直な男の悲劇の物語であると同時に、1970年代のアメリカ社会にスポイルされてしまった人間のどうしようもなく苛酷な現実をも映し出しているのだと思う。
またこの作品の良さの一つは、「サム・ビック狂気にかく陥りたり」と散々彼のサイドから描写をしつつ、だからと言ってテロ行為の理由付けにはならないしどんな事情を積み重ねようがこの男の犯した罪は許されない、という鑑賞者の結論をきちんと引き出させるバランス感覚だろう。
ショーン・ペンがこの孤独に苛まれたダメ男の苦しみと狂気を異様な迫力で演じ切っている。別に好きじゃないがやっぱり憎らしいほど上手い、ショーン・ペンw。

だが、男の妄執とエゴによるテロリズムは悲哀だけでは片付けられない。狂気の誕生はこうして始まる的な結末にはおそらく誰しも鑑賞後如何ともし難い空しさとやりきれなさに包まれる。
社会的弱者に焦点を当てた点とショーン・ペンの演技は高く評価されて然るべきだろうが、日本人には掴み難い当時の社会的背景や価値観についてもう少し触れてくれたならば、サム自身の苦悩の深さをより理解できるように感じられた。
とにかく役者の上手さが際立っている作品である、悪くはない、悪くはないけどどこを切ってもショーン・ペンw。

 リチャード・ニクソン暗殺を企てた男@映画生活

【追記】
本作は「タクシードライバー」の設定とは非常に似通ったものがあるがその帰結は全く違うように感じる。トラヴィスの行動は、ベトナム戦争帰還兵が辿るやり場のない焦燥と狂気の世界から自分の居場所を探す男の戦いでもあったと思うのだ。
歪んだ正義感が思いがけず彼をヒーローにしても彼の立ち位置はタクシードライバー。
対するサム・ビックの悲劇は、結局アメリカン・ドリームというものを最後まで否定できず、社会的な自分の居場所なり自身のアイデンティティーを見出せなかったことにあるのではないか。だからこそ見果てぬ夢に破れた彼の行動はあまりにも稚拙で愚かなのだ。
いずれもこの時代を知っているアメリカ人の感想を聞きたくなる作品には違いない、興味のある方はどうぞw

 タクシードライバー コレクターズ・エディション
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