-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「DISTANCE/ディスタンス」
2005年 08月 29日 (月) 10:13 | 編集
 DISTANCE(ディスタンス)

「DISTANCE/ディスタンス」 ★★★

(2001年日本)
監督:是枝裕和
キャスト:ARATA、伊勢谷友介、寺島進、夏川結衣、浅野忠信、りょう、遠藤憲一、中村梅雀[2代目]、津田寛治、山下容莉枝、村杉蝉之介、梓、木村多江
公式サイト

オウム事件をモチーフにカルト教団とその加害者側の家族という視点で描かれたドキュメンタリータッチの作品。
トリアーのドグマ95方式を取り入れた手ブレの映像、即興的な台詞、自然光での撮影。演出らしい演出はなく音楽もない。「ワンダフルライフ」でもこういう手法が一部使われてはいたが此方は一歩進んで非常に実験的な作品に思えた。
しかし何度観ても正直監督の訴えたい物が見えてこない。カルト教団信者とその家族、そして彼等の輪の外側にいる我々。
相容れない者其々の間にあるディスタンスを描こうとしたのか、その果てしない距離を縮めるということに拘りたかったのか。擬似リアリティの世界を作り上げてはみたものの、この映画はどこか観客の感覚から乖離してしまっているような気がする。カルト教団の被害者側の声を映さないという試み自体監督のメッセージの現れとも言えるのかもしれないが、この事件で甚大な喪失を被った側にスポットを当てないままやけに叙情的に幕を下ろすという手法は、どこか丸め込まれてしまっているような違和感を覚えるのだ。結局それが自分には最後まで共感できない部分であった。理解できない異端を排斥するということは誤りだが、真の犠牲者を穿き違えているようなそんな感覚だ。「誰も知らない」で母親を意図的に憎めないキャラで描いたことでもわかるように取り巻く社会が悪い、的な視点がこの作品にもないだろうか?
実際の事件の重さをどういう切り口で表現するか。そういう意味では確かにこの「ディスタンス」的アプローチもあっていいと思う。ボソボソ呟く独り言のような即興的台詞と繰り返される無音の「間」。聞き取り難いのが少し気にはなったが、登場人物其々の心の揺れや近づく事のない距離感(壁や溝と言い換えてもいい)はなかなか上手く表現されていると感じる。だがあれだけの事実を抱えた事件を背景にしている作品に、社会ではなく個人の責任という部分がすっぽり抜け落ちているのはやはりおかしいような気がするのだ。

しかしただ一つ言えることは、やはりこの映画がなければおそらく「誰も知らない」は生まれなかっただろうとも思う。
モチーフにした事実を直接的には描かずしてその重さと痛みを鑑賞者に訴えるという監督の試みは「誰も知らない」によって完全に結実している。
テーマのユニークさや斬新な切り口等、見るべき部分は非常に多い作品だ、是枝作品に興味のある方は是非。

 ディスタンス@映画生活

■関連作品
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