-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「カッコーの巣の上で」 
2005年 08月 29日 (月) 09:44 | 編集
 カッコーの巣の上で

「カッコーの巣の上で」  ★★★★☆

One Flew Over The Cuckoo's Nest(1975年アメリカ)
監督:ミロス・フォアマン
キャスト:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、マイケル・ベリーマン、ブラッド・ドゥーリフ、ウィル・サンプソン、クリストファー・ロイド、ダニー・デヴィート、ポール・ベネディクト、スキャットマン・クローザース、ネイサン・ジョージ

 現代にも通ずる寓話的要素に満ちた名作。ジャック・ニコルソンが素晴しい。

 60年代アメリカにおける精神病棟の実態を告発することによって、管理社会による人権侵害を象徴的に暴き出し、人間の尊厳を問い正したヒューマンドラマである。

 映画のテーマは非常に多岐に渡る。ロボトミー手術に象徴される人間の尊厳の破壊も包括した拘束と搾取による人権侵害の問題、管理社会における自由という体制対反体制の構図、マクマーフィの行動がもたらす個としての自己の解放と覚醒。この総てが収斂された結果、作品全体には古さを感じさせる事の無い普遍性が構築されているのではないだろうか。

 無機質な白い精神病棟で、マクマーフィの人間臭い行動によって少しずつ変っていく患者たちの表情、その丁寧な描写が印象的だ。海に出た彼等の子供のように生き生きした顔や、ゴールを決めたチーフの笑顔。屈託のないその人間らしい表情が、ロボトミー手術によって生ける屍のようになってしまったマクマーフィのそれとオーバーラップして、いつまでも脳裏に焼きついて離れない。

 そして最大の謎でありこの作品のキーとなるポイントはマクマーフィの行動であろう。
 なぜ逃げなかったのか?
 マクマーフィの失敗は果たして単なる失敗だったのだろうか?
 彼の計画は完璧に遂行できたかもしれないのに、あの一瞬彼を躊躇させ引き止めてしまった要因こそ、この映画の核心に他ならないように思うのだ。望めばいつでも病棟を出られる患者たちにしてもマクマーフィにしても、彼等に共通するものは「不適応者」という烙印なのである。逃げ出すことが自由と幸福に必ずしも結びつくとは限らないという彼等が置かれた閉塞した社会的状況、それはある種の連帯感をも生み出しマクマーフィの最後のチャンスを奪い去ってしまうのだ。結局マクマーフィが残した自由への飽くなき渇望の灯は、チーフを始めとした患者たちの胸に深く刻まれる事となる。

 「一緒に行こう」
 酷く残酷な結末ではあるのだが、人間に守られるべき誇りと未来への揺ぎ無い希望を湛えたエンディングは全く圧巻としか言い様が無い。当たり前のことが当たり前ではなかった時代と社会を投影し、「時計じかけのオレンジ」と共にいつの日も我々の魂を揺さぶる名作だ。自分が生まれる前の作品だがやはり何度観ても素晴しい、ジャック・ニコルソンの名演にも注目のお薦め作品。
 監督は「アマデウス」でもオスカー獲得の名匠ミロス・フォアマン。アメリカン・ニューシネマの代表作と言われ、1975年アカデミー作品・監督・脚色・主演男優賞、主演女優賞を受賞し、オスカーを席巻した。

   ◆参考資料
    ・ロボトミー手術について
      前部前頭葉切截術、第2次大戦後には精神分裂病の患者に対して盛んに行われたが現在は医療効果への疑問と人道上の問題から行われていない
      ⇒ 精神外科ロボトミーとは
    ・「カッコーの巣の上で」タイトルの由来
      最後にチーフが一人 (One) で自由を求めて、精神病院 (the cuckoo's nest) から飛び出して脱出する (flew over) ことを象徴しているらしい。
      ⇒詳細はこちら(Wikipedia)
    ・アメリカン・ニューシネマ New Hollywood


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■サウンドトラック「カッコーの巣の上で
   「スタンド・バイ・ミー」を手がけたジャック・ニーチェによるサントラ。

■関連作品

17歳のカルテ コレクターズ・エディション
   ・・・「17歳のカルテ」は実話に基づいた作品だが、精神病院という設定やキャストのキャラクターが「カッコーの巣の上で」と似ている点がある為比較されることが多い。   

■ミロス・フォアマン監督作品
アマデウスヘアー [MGMライオン・キャンペーン]コリン・ファースの恋の掟
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