■ Title Index : all ア カ サ タ ナ ハ マ ヤ ラ ワ A-Z・数字 監督別 |
■ ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ |
2005年
08月
27日
(土)
23:44 |
編集

「CODE46」 ★★★☆
Code 46(2003年イギリス)
監督:マイケル・ウィンターボトム
キャスト:ティム・ロビンス、サマンサ・モートン、ジャンヌ・バリバール、オム・プリ 、エシー・デイヴィス、伊川東吾
⇒ 公式サイト
⇒ 挿入歌 Coldplayの"Warning Sign"を聴く
感想にはネタバレが含まれます。
題材は面白い、だけど決定的に何かが足りない。
同じ核遺伝子を持ちながら愛し合ってしまった男と女の「運命」を近未来を舞台に描いたSFドラマ。
まず、舞台のアジアンティストな雰囲気や多国籍な言語が飛交う世界、禁忌的な恋の行方のストーリー展開は物凄く「ブレードランナー」を連想させられるし、遺伝子によって管理された社会という設定はほぼ「ガタカ」。だが本作は更に抽象的で叙情的。
この作品のテーマの根幹となるものは、完全に生殖機能を管理された社会において、人であることのアイデンティティはいったいどこにあるのか?という心まで管理しようとする社会への痛切なアンチテーゼと、遺伝子でさえも止める事ができない惹かれ合う究極の愛情であると思う。さらにクライマックスで対称的に描写された「外」と「中」という表現には人間の本質的な幸福の所在についても考えずにはいられない。安全で管理された「中」で総ての愛の記憶を失って暮らすことと、「外」で二度と会う事さえも叶わぬ愛した記憶だけを引き摺って生きることとでは、果たしてどちらが人間として幸福なのか、非常に深いテーマを包括した作品であると思う。
で、足りないと感じた根拠についてだが。
登場する小物等は少し未来的な色が出ていたものの、近未来を感じさせる映像は単に一つの風景としてしか織り込まれない為、結局非常に観念的世界観で統一されている印象を受ける。SF作品ではなくSF的要素で綴った男と女の悲恋モノを描いたドラマとして観るべきなのだろうが、見せ方としてすべての事象の存在感が茫漠として希薄である点は、この作品の持つ深いテーマを反って曖昧化する可能性があるのではないか。
最も残念な部分は共鳴ウィルスの謎や同一核遺伝子の一致についての説明が極めて緩く些少な描写に終始する点だろう。映像1シーン見せて50%一致とかウィルス云々という台詞一言二言くらいじゃSF慣れした観客には誤魔化された印象しか残らない。その点雰囲気だけで流す映画にせずに、もう少し時間を長くしてもきっちり詰めて描いて欲しかった。ラブストーリーだからといって設定の重要な要素を軽く描写するのでは物足りなさを感じさせてもしょうがあるまい。
結果的に音楽と映像の雰囲気が勝っているが故に、脚本の細部自体には非常に弱さを感じさせる作品だった。(悪いけど「ソラリス」思いだしましたよ)
これから観る人は、あくまで「SFティスト」な作品だということを念頭においてバリバリSFを期待して観たりしないことだろう。本作が持っているこのCODE46抵触という設定とテーマ性は非常にユニークだし問題提起的アプローチもあるので決して悪くない映画だ、近未来叙情SFが観たい人にはお勧めかもしれない、ラストはマジでいいですw。
はぁしかしごっつくなったね、サマンサ・モートン。
これ以上でかくなられると正直スクリーンで観るのはきついよ。歪曲プロレタリアートさんご推薦のエンディングのCOLDPLAY「Warning Sign」は物凄く良かったと思う、試聴は此方から⇒ 「Warning Sign」


■映画「CODE 46」に参加している意外なミュージシャン達 について
■COLDPLAY「Warning Sign」収録のアルバム 「静寂の世界」

2003年度・第45回グラミー賞:最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム受賞作品、前作「パラシュート」に続くグラミー受賞作。
公式サイトからは他の曲も一部試聴できる。
■サントラ

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