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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「息子の部屋」
2005年 08月 27日 (土) 21:39 | 編集
 息子の部屋

「息子の部屋」 ★★★

The Son's Room(2001年イタリア)
監督:ナンニ・モレッティ
キャスト:ナンニ・モレッティ、ラウラ・モランテ

2001年カンヌ映画祭パルムドール受賞作品。
愛する者が亡くなろうとも時間は変ることなく澱みなく流れるという現実に、残された者達がいかに向かい合い死を受け止めていくのか、それを淡々とシンプルに描いた作品だと思う。まぁ息子の死によって止まってしまった家族の時計、それが再び動き出す過程を描いたと言い換えてもいい。

この作品では愛する者の死を受容する困難さ、が非常に丁寧に描かれる。自責と後悔と転稼の念に苦しむ家族の心の移ろいと、フラッシュバックする息子の思い出の映像は切ないものだ。
但しストーリー自体はシンプルでドラマティックな演出もないし、息子の死までの描写が全体の半分に及ぶという独特な構成も好みが分かれるところではないかと思う。
息子を失った悲嘆と後悔でばらばらになった家族が再生に向う過程を描く後半の展開はいいが、前半部分の長さは若干冗漫な印象を受けざるを得なかった。まぁこれも後半への長い布石として考えれば悪くないのかもしれないが。
しかし息子を失った海で迎えるエンディングは素晴らしい。客観的で冷静な視点によってこの作品は叙情的に流されることなく「癒しと再生」を完璧に描き出すことに成功しているのではないか。長い悪夢から覚醒したようなラストシーンが印象的だった。
テーマは全く異なるが「息子のまなざし」ともまた違った重さと切なさの残る作品。
非常に美しい音楽と明るいイタリアの風景も心に残る。ラストの曲はブライアン・イーノ "By This River"。

 息子の部屋@映画生活

■息子の部屋 サウンドトラック
息子の部屋 ― オリジナル・サウンドトラック 息子の部屋 ― オリジナル・サウンドトラック
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