-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「誰も知らない」
2005年 08月 27日 (土) 02:27 | 編集


「誰も知らない」 ★★★★

Nobody Knows(2004日本)
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
音楽:ゴンチチ、タテタカコ『宝石』
キャスト:柳楽優弥、北浦愛、木村飛影、清水萌々子、YOU、韓英恵、加瀬亮、タテタカコ、遠藤憲一、寺島進
   ⇒ 誰も知らない@映画生活
   ⇒ 巣鴨子供置去り事件の詳細(Wikipedia)
   ⇒ 公式サイト

怒りと苛立ちと哀しみに言葉を失う。何故?一体誰が悪いのか?

この作品の最大の特長はリアリズムを体現した非常に自然な撮影方法であろう。ネグレクトという残酷な実話ベースの物語であるにもかかわらず、ドラマチックな展開も悲嘆に泣き暮れる描写も凡そ映画的虚構の演出はそこにはない。映画はまるで風景画のように彼等の生活を丹念に映し出していく。殆ど台本らしい台本が用意されないで演じた子役達のアドリブを交えた表情と台詞を最大限に生かして、愚直なエゴに身を委ねる母親を待ち続け信頼する子供達の異様な日常を、静かに、第三者的に描くのだ。
しかし、抑揚を抑えつつクローズアップされた幼い手や足、何度も登り降りる石段、そして冷酷なまでに客観視された出来事の一つ一つは、決して消えない染みのようにいつまでも観る者の心に残る。過剰なドラマ性を排した演出によって浮かび上がるのはただ一つ、現実の残酷さなのである。

カメラは出口を失い少しずつ閉塞して行く子供達の表情を執拗なまでに丁寧に追い続ける。これによって我々は家族関係という閉じられた一つの小さな社会の落とし穴を再認することになるのだ。即ち親も子供もお互いを選ぶ事ができないが、庇護無くして生きられない年齢の子供は親に与えられた環境しか享受できない。だからどんなに酷いダメな母親であろうとも母親は母親で、所謂世間一般の子供らしい暮らしを奪われ傍から見れば不幸極まりない劣悪な環境に生きていたとしても、彼等が母親と共に暮らし生きた時間はとても幸福だったのだろうと思う、母親を待ち4人で暮らす間でさえも。
その彼等の世界の扉を開けるということは、皮肉にも彼等の「幸福な」生活に土足で踏み込みそれを破壊しなければならないということでもあるのだ。

しかし映画は誰もそうしようとはしなかった事実を描いて終わる。彼等の世界を壊してやらなければならなかったはずなのに、皆彼等の存在を知ろうとも関ろうともしない。
「知らない」のではなくて「知ろうとしない」、臭い物には蓋的な独善的な社会の現実を描く事によって、「私は幸せになっちゃいけないの?」の一言で現実から逃避する母親とその周囲の人間が何ら変わりはないという愚かさを傍観者である我々も問いただされているように思うのだ。
この「取り巻く社会の責任」という視点は是枝監督の「ディスタンス」でも明示されたものだったが、本作の方が題材的には一般に受け容れられ易いのかもしれない。だが自分は「ディスタンス」の時もこの社会的責任を一次的に扱うというアプローチに全く共感できなかったのと同様、やはりこの「誰も知らない」についても違和感を覚えた。本作の母親や「ディスタンス」の加害者側の責任がどこか棚上げされてしまい、云わば責任の拡散と曖昧化の危険を感じてしまうからである。

しかしながらやはり一つの映画として観た場合の完成度は非常に高い。その深いテーマ性とメッセージ性を鑑みても是枝作品の総決算として秀逸な一篇であることは間違いないだろう。
そしてこれ程笑顔が心に痛い映画もまた他にはないのだ。何故ならここには、置去りにされた子供たちの悲劇と同時に確かな彼等の成長も映し出されているからである。飛行機の見えるあの場所に埋葬されたのは幼い少女だけではなく明の少年時代でもあったのではないか?どんなに過酷な状況下でも少年は成長し大人になろうとする。そして無責任なわずかな大人の善意は何一つ事態を変えることはできなかったのだ。

京子の指に残った赤いマニキュアとゆきが愛したサンダルの音が酷く胸を打つ。実際に起こった巣鴨子供置き去り事件と共に目を背けずに観るべき作品だろう、傑作です。
尚、主演の柳楽優弥は2004年度のカンヌ国際映画祭において史上最年少及び日本人として初の最優秀主演男優賞を獲得したことは記憶に新しい。

・・・自分が子供の頃に見上げた空はどんな色だったかな、とふと思った。

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