-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「デッドマン・ウォーキング」
2005年 08月 27日 (土) 01:11 | 編集
 デッドマン・ウォーキング

「デッドマン・ウォーキング」 ★★★★

Dead Man Walking(1995年アメリカ)
監督:ティム・ロビンス
脚本:ティム・ロビンス
キャスト:ショーン・ペン、スーザン・サランドン、ロバート・プロスキー、レイモンド・J・バリー、R・リー・アーメイ、クライド・パーシー 、スコット・ウィルソン、ジャック・ブラック
主題歌:ブルース・スプリングスティーン "Dead Man Walkin'"

ティム・ロビンスとスーザン・サランドンというリベラリスト夫婦による死刑制度反対を問いかけるドラマ。

死刑制度の是非を問うと言うよりは、本質的には人が人を裁くことの困難さ、死に向う人間の心がどうやって救済されるべきか、に重きが置かれた作品であるように感じられる。
全篇通して宗教色が濃く非常に重い沈痛なドラマであり作品が観る者に投げかける問題も実に大きい。
加害者被害者双方の権利と救済、死刑制度への是非、キリスト教的宗教観、これ等への感情移入を無くして作品を語ることはできないが、ティム・ロビンス本人の死刑制度への思想的な部分は表面的には現れることなく、一見映画は極めて中立的に加害者と被害者の其々の立場を描写し続けているように思える。判断を鑑賞者に委ねるかのように。

Dead Man Walking.
自らが殺される場所に自ら歩を進める死刑囚。その情景は全く恐怖そのものだ。最期の時を前にしてマシューは叫ぶ、俺の死によって貴方たちが癒される事を願う、と、そして殺人は間違っている、と。

つまりこの作品の着地点は、殺人が罪であるなら「死刑」そのものも人が人を殺すことに変わりはない、それもまた罪ではないかということだ。ここから目には目をという論理への批判即ち「死刑制度反対」のニュアンスを強烈に受け取れると思うのだが、その言葉を被害者側ではなく加害者自身に言わせたことにより訴えるものが酷く弱くなってしまった印象がある。加害者自身がどれほど心を入れ換えようとも死刑囚であることは厳然とした事実であり、死にたくない人間の言葉は所詮説得力に欠ける。

また魂の救済という点で考えるならこの映画の視点は死刑囚側に特化し、被害者側の心の救済という部分の描写は薄い、どこか片手落ちな物足りなさを感じてしまうのはそのせいなのだろう。こう考えてみるとやはりティム・ロビンス自身の思想が投影された作品であることは間違いなく、決して中立的な視点ではないということも明らかだ。

結果的には、本作は死刑制度の是非というアプローチだけではなく、魂の救済という宗教的な命題をも掲げている為、死刑制度反対論は非常にマイルドに語られることになったのだと思う。死刑廃止論者である修道女ヘレン・プレジャンのノン・フィクション作品が原案なのでそういう方向に偏るのは仕方がないだろうが、信仰の有無に依っても思い入れはかなり変わってくる作品だと思う。いずれにしても非常にメッセージ性の強い深い余韻の残る作品の一つだ。

まるで磔のキリストを連想させる執行シーンは、死刑制度というものを改めて考えさせられる壮絶なクライマックスだがこの演出はどう見ても若干宗教色が濃すぎる気がする、ちょっとやり過ぎw。

秀逸なのはガラス越しに対峙する死刑囚とシスターのカットだろう。
死刑囚の表情を追うカメラは同時にガラスに映ったシスターの顔をも捉える。そのショーン・ペンの表情の変化が実に素晴しい。死に向うマシューの顔は、憎悪、転嫁、自己擁護、苛立ち、諦念から、やがて後悔と懺悔、贖罪の表情に変わっていくのである。
また抑揚を抑え最後までささやくように静かに語りかけるスーザン・サランドンの演技も見所の一つ。彼女は本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞している。

最終的な罪の救済と浄化に必要なものは、エロスではないアガペーの愛なのだろうか、等と無宗教ながら考えさせられた。
キェシロフスキの「殺人についての短いフィルム」と比較して暴力による暴力の断罪という側面を考えてみるのも面白いと思う。


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■サウンドトラック
デッド・マン・ウォーキング デッド・マン・ウォーキング
   ブルース・スプリングスティーンやトム・ウェイツが参加したアルバム

■キェシロフスキ作品
殺人に関する短いフィルム 殺人に関する短いフィルム


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