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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「SWEET SIXTEEN」
2005年 08月 26日 (金) 00:18 | 編集
 SWEET SIXTEEN

「SWEET SIXTEEN」 ★★★★

SWEET SIXTEEN(2002年イギリス)
監督:ケン・ローチ
キャスト:マーティン・コムストン、ウィリアム・ルアン、アンマリー・フルトン、ゲイリー・マコーマック
   ⇒ IMDbのTrailerを観る(英語)
   ⇒  スイート・シクスティーン@映画生活へ

 16歳の哀しみと孤独の声がずしりと魂に響く。
 少年の挫折と不毛な社会の現実を描いたケン・ローチの傑作。

感想にはネタバレが含まれます。
 誰もが記憶の中の16歳と重ねてしまうだろう、主人公リアムの気持ちが突き刺さるような痛みとなって深く胸に残る、そんな映画である。
 母親と暮らすという夢の為だけにひたすら生きてしまった少年の行動はあまりにも稚拙で破滅的かもしれない。しかし誰が彼を責められようか。彼を取り巻く世界は誰一人としてエスカレートする彼の行動を引き留めない社会。映画は深みにはまっていくリアムを包む狭小な世界をただ淡々と客観視して見せる。

 思うにリアムの不幸は家族を、即ち自分を産んだ母親という存在をどうしても捨てられなかったことに尽きる。家族というものはお互いを選択することが出来ない「閉じられた社会」だ。人間の最小の社会関係において、最も愛されるべき対象からあるべき愛情を受けられずに意識の奥底に沈殿していく悲しみと孤独。灰色にくすんだうら寂しいスコットランドの風景に重ねて描かれた少年の純粋さ故の愚かさが胸に迫る。
またリアムという一人の少年の挫折を辿ることによって、このような生き方しか選択できない社会的な閉塞をより鮮烈に映像化することに成功しているという点は社会派ケン・ローチ監督の最高傑作と評される所以だろうと思う。

 ただ愛されたかった、それだけだった16歳の孤独。
 エンディングの姉の言葉は、おそらく彼が母親から聞きたかった唯一無二の言葉だったに違いない。
「暗い」「後味が悪い」「救いがない」映画、そのような感想も勿論間違ってはいない。だがやるせなく切ないラストシーンで、少年に向けられた監督の視線は決して冷酷ではなく、それが彼の未来への救いともなっているのだ。

 リアムを演じたマーティン・コムストンが凄くいい。上手いかどうかという次元を超えてリアムの不器用さや一途さを表現するには彼じゃなければ駄目だと思わせる存在感があった。
 これまで観た映画の中でも屈指の一本、社会の底辺をスクリーンに映し続けるケン・ローチという才能の比類なさを再認させられる名作である。2002年カンヌ国際映画祭脚本賞受賞作品。

余談。
リアムを見ていて上から物を言われたくない、縛られたくない、命令されて何か決めるなんて真っ平だと思っていた高校時代のことを少し思い出した。それでいて無視されたくなくて自分を認めて欲しいと願う複雑な思いもあって、ありのままの自分を受け止めてくれる人間がいればこそ、の年代でもあるような気がする。
なんつって今も十分アフォなんだけども(゚Д゚;)


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