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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「アメリ」
2005年 08月 25日 (木) 21:58 | 編集
 アメリ

「アメリ」 ★★★☆

AMELIE(2001年フランス)
監督:ジャン・ピエール・ジュネ
キャスト:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、ヨランド・モロー、ジャメル・ドゥブーズ、イザベル・ナンティ、ドミニク・ピノン
   ⇒ Yann Tierssen作曲の"La Valse d' Amelie"を試聴する

空想世界に生きていた少女が出会う恋愛という現実世界への途惑いと躊躇いを、ジュネ監督がユニークに味付けして表現した作品。
でも良くも悪くもそれは、ジャン・ピエール・ジュネという個性の角を取って鈍化させた「万人受けするユニークさ」でしかない。

アメリという主人公含めそれを取り巻く周囲が皆恐ろしく風変わりという設定がまず観る者を惹きつける要因ではあろう。
実はあまり恵まれていたとは言えない幼少時代を過ごし、立派なエキセントリックヒキコに成長したヒロインは、やることがいちいち回りくどい&マニアック。その個性的な彼女と恋に落ちるニノもやっぱりかなり変わり者。(何しろ趣味は捨てられた写真を収集する「スピード写真コレクター」だ、一歩間違えれば変態どう考えても危な過ぎである)

更に二人を含めたキャラの面白さと共に、アメリが仕掛けるほぼ犯罪な悪戯で展開されるストーリーがこの映画の醍醐味である。レトロで装飾的な映像やノスタルジックで上質な音楽、それとオドレイ・トトゥの雰囲気がなかったら、この映画で彼等がやっていることは実はかなり危ないのだw。そして出会いから結実までどうにも現実性のないファンタジー要素を網羅しつつ、ギリギリの所でキッチュなラブストーリーにちゃんと収束して見せる辺り、ジュネのセンスが垣間見える作品ではある。また「ロスト・チルドレン」に集約されて表現されたごちゃまぜ感やレトロでノスタルジックな暖かさがやっぱりこの「アメリ」にも踏襲されていると思う。

しかし、演出・映像・カメラ、その細部への拘りは相変わらずジュネらしくて面白いが、「ホラ、お洒落だろ?個性的だろ?」とセンスの良さを直接的に訴えかけるような卑俗的な媚びも感じてしまったことも事実だ。そしてその個性の表現も随分市場的なそれになったような気がしてならない。一方ではこのような個性を絶賛して受容するマーケットの成熟ということも言えるかもしれないが、「ロスト・チルドレン」に見られた悪趣味なまでの独自性や、突き抜けたファンタジーへの昇華はここにはない。この極めて戦略的に大衆的な着地を、少し寂しく受け止めつつ鑑賞した次第である。

ニノ役のマチュー・カソヴィッツが意外にもぴったりで、ヤン・ティルセンの音楽もこの映画のノスタルジックなムードの醸成に一役買っている。エピソードのジュネ風の味付けを楽しんで鑑賞できれば非常に楽しめる作品に仕上がっている。
オドゥレイ・トトゥに関してはこのアメリ役は実にはまり役かもしれない、因みに自分の彼女がああだったら当然引くとは思うけどね(髪型含めw)


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■サウンドトラック「アメリ」
Yann Tierssen作曲の個性的でノスタルジックな旋律が印象的な一枚。
アメリが好きな人にはこれは買いだろう。
収録曲の試聴はこちら
   ⇒ "La Valse d' Amelie"
   ⇒ "Comptine d'un autre ete l'ap"

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